バンド漫画を読むと無性にライブしたくなりませんか?
ということで、バンドや音楽をテーマにした漫画を紹介したいと思う。
じつはバンドをテーマにした漫画は、王道の青春サクセスストーリーから、恋愛ドラマ、ギャグ、BLまで驚くほど懐が深いジャンルである。
この記事では、定番の名作から今読むべき連載中の話題作まで、バンド漫画のおすすめ17作品を「作品情報」「あらすじ」「おすすめポイント」の3つの観点で徹底レビューする。
どれも実在の書誌情報・メディア化情報をもとに執筆しているので、作品選びの参考にしてほしい。
この記事でわかること
- バンドをテーマにした漫画の定番・名作が一覧でわかる
- 完結済みで一気読みできる作品と、連載中で今が旬の作品が区別できる
- 作品ごとの「おすすめポイント」から、自分の好みに合う一冊が見つかる
目次
- BECK(ハロルド作石)
- NANA -ナナ-(矢沢あい)
- けいおん!(かきふらい)
- ぼっち・ざ・ろっく!(はまじあき)
- デトロイト・メタル・シティ(若杉公徳)
- ソラニン(浅野いにお)
- TO-Y(上條淳士)
- 覆面系ノイズ(福山リョウコ)
- ギヴン(キヅナツキ)
- カノジョは嘘を愛しすぎてる(青木琴美)
- バジーノイズ(むつき潤)
- ロックは淑女の嗜みでして(福田宏)
- ふつうの軽音部(クワハリ/出内テツオ)
- ハレルヤオーバードライブ!(高田康太郎)
- 日々ロック(榎屋克優)
- ネムルバカ(石黒正数)
- SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん(町田一八/長田悠幸)
1. BECK(ハロルド作石)
作品情報
- 作者:ハロルド作石
- 出版社:講談社(月刊少年マガジン)
- 巻数:全34巻・完結
- 受賞歴:第26回講談社漫画賞受賞
- メディア化:テレビアニメ化
あらすじ
冴えない中学生・コユキは、一匹の犬「ベック」との出会いをきっかけに、その飼い主である天才ギタリスト・竜介と知り合う。音楽にまったく興味がなかったコユキは、竜介たちのバンド活動に巻き込まれるうちに音楽の魅力に目覚め、やがて仲間たちとバンドを結成。世界を目指す長い旅が始まる。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、紙面から本当に音が聞こえてくるかのような演奏シーンの臨場感だ。ギターの弦の震えやライブハウスの熱気までもが、緻密な作画によって説得力を持って伝わってくる。加えて、音楽にまったく興味のなかった平凡な少年コユキが、竜介たちとの出会いを通して少しずつ変わっていく過程が非常に丁寧に描かれており、読者は彼の成長をまるで自分のことのように追体験できる。挫折や仲間との衝突を乗り越えながら夢に近づいていく王道の展開は、バンド漫画というジャンルの基本形をそのまま体現しているといっていい。これからバンド漫画を読み始めたいという人には、まず最初の一冊としてすすめたい金字塔的な存在だ。
2. NANA -ナナ-(矢沢あい)
作品情報
- 作者:矢沢あい
- 出版社:集英社(Cookie)
- 巻数:既刊21巻・長期休載中
- 受賞歴:第48回小学館漫画賞受賞
- メディア化:テレビアニメ化・実写映画化
あらすじ
同じ「ナナ」という名を持つ2人の女性が、東京行きの新幹線で偶然出会う。パンクバンドのボーカルとして生きるナナ(大崎ナナ)と、恋に生きる普通の女の子・ナナ(小松奈々)。2人はひょんなことから同居生活を始め、それぞれの夢と恋、そして友情に向き合っていく。
おすすめポイント
本作の見どころは、バンド「BLACK STONES」の活動を通して描かれる音楽業界のリアルな厳しさだ。夢を追いかけることの華やかさだけでなく、その裏にある葛藤や挫折までも生々しく描写されており、単なる恋愛漫画にとどまらない骨太な物語になっている。また、対照的な性格を持つ2人のナナが互いに支え合い、時にぶつかり合いながら関係を深めていく友情の描写は、少女漫画の枠を超えた濃密な人間ドラマとして高く評価されている。連載開始から20年以上が経った今なお色褪せることなく読み継がれており、社会現象を巻き起こした少女漫画史に残る名作として、まだ読んだことがない人にもぜひ手に取ってほしい一作だ。
3. けいおん!(かきふらい)
作品情報
- 作者:かきふらい
- 出版社:芳文社(まんがタイムきらら)
- 巻数:全4巻・完結
- メディア化:2009年テレビアニメ化
あらすじ
部員が足りず廃部寸前だった女子高の軽音部に、平沢唯たち4人の女子高生が入部する。「放課後ティータイム」というバンドを組んだ彼女たちは、大きな挫折や派手な事件もなく、ゆるやかな部活動の日々を送っていく。
おすすめポイント
多くのバンド漫画が挫折や成功といった熱いドラマを描く中で、本作はあえてそうした波乱を避け、「部活が楽しい」というただそれだけの空気感を丁寧にすくい取っている点が最大の魅力だ。4コマ形式ならではのテンポの良さもあり、難しいことを考えずに気軽にページをめくれる読みやすさは唯一無二といえる。派手な事件が起きないからこそ、読んでいて肩の力が抜け、まるで自分もその部室にいるかのような居心地の良さを味わえる。2009年のアニメ化をきっかけに軽音部やバンド漫画そのもののブームを牽引した本作は、ジャンルの間口を大きく広げた立役者であり、バンド漫画初心者にも安心してすすめられる一冊だ。
4. ぼっち・ざ・ろっく!(はまじあき)
作品情報
- 作者:はまじあき
- 出版社:芳文社(まんがタイムきららMAX)
- 巻数:連載中
- メディア化:2022年テレビアニメ化
あらすじ
極度の人見知りで、人と目を合わせることすら苦手な引きこもりギタリスト・後藤ひとりは、ひょんなことから「結束バンド」に加入する。日常生活ではコミュ障全開の彼女だが、ステージに立った瞬間だけは別人のように輝きを放つ。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、極度の人見知りという現代的な「陰キャ」主人公・後藤ひとりのリアルで共感を呼ぶ心理描写にある。人と目を合わせられず空回りしてしまう彼女の姿は、コミュニケーションに苦手意識を持つ多くの読者の心を強くつかんでいる。それでいて、ステージに立った瞬間に別人のように変貌するギャップの演出は、ライブシーンの熱量とテンポの良いギャグを両立させた見事な構成力によって成立している。笑えるのに泣ける、という振れ幅の大きさも本作ならではの持ち味だ。2022年のアニメ化によって社会現象と呼べるほどの人気を獲得しており、今もっとも勢いのあるバンド漫画として真っ先に読んでほしい一作である。
5. デトロイト・メタル・シティ(若杉公徳)
作品情報
- 作者:若杉公徳
- 出版社:白泉社(ヤングアニマル)
- 巻数:全10巻・完結
- メディア化:実写映画化
あらすじ
本当はおしゃれなポップスが好きな青年・根岸クリスタルは、なぜかデスメタルバンドのカリスマボーカリスト「クラウザーⅡ世」として熱狂的に崇められてしまう。理想の自分と、世間が求める自分とのギャップに苦しみながらも、ステージに立てば人格が豹変してしまう二重生活を送る。
おすすめポイント
本作の最大の魅力は、理想と現実の激しいギャップを容赦なく笑いに転化してしまう、他に類を見ないギャグセンスにある。おしゃれなポップスを愛する青年が、望んでもいないのにデスメタルのカリスマとして崇拝されてしまうという設定自体が秀逸で、そのコントラストが生む可笑しみは一度読めばやみつきになる。一話完結に近いテンポの良い構成なので、細切れの時間でも気軽に読み進められる読みやすさも魅力のひとつだ。熱血や切なさを前面に押し出したシリアスなバンド漫画を読み続けて少し疲れたときに、箸休めとして手に取ると、笑いながら音楽への熱量を取り戻せるはずだ。バンド漫画のイメージを良い意味で裏切ってくれる一冊である。
6. ソラニン(浅野いにお)
作品情報
- 作者:浅野いにお
- 出版社:小学館(IKKI)
- 巻数:全1巻(新装版)・完結
- メディア化:実写映画化
あらすじ
大学を卒業したばかりの芽と、そのバンド仲間たち。就職して社会人になったものの、将来への漠然とした不安を拭えないまま、アマチュアバンドの活動を続けている。夢と現実の狭間で揺れ動く彼らに、ある決断のときが訪れる。なお新装版には、10年後の彼らの姿を描いた続編も収録されている。
おすすめポイント
本作は、ゼロ年代青春漫画の金字塔とも称される完成度の高さが最大の魅力だ。全1巻というコンパクトな中に、就職して社会人になった若者たちが抱える焦りや迷いが凝縮されており、無駄のない構成でありながら読み応えは十分にある。バンドで成功を掴むという派手なサクセスストーリーではなく、モラトリアムの終わりという誰もが経験するであろう切実なテーマと真正面から向き合っている点も見逃せない。だからこそ、読み終えた直後よりも、しばらく時間が経ってからじんわりと効いてくるような独特の余韻を残す。かつて夢を追いかけていた人にも、今まさに将来に迷っている人にも、静かに寄り添ってくれる一冊だ。
7. TO-Y(上條淳士)
作品情報
- 作者:上條淳士
- 出版社:小学館(ビッグコミックスピリッツ)
- 巻数:全10巻・完結
- 連載開始:1985年
あらすじ
天才的な音楽性を持つパンクバンド「GASP」のボーカリスト・藤井冬威は、より高い目標を求めてスター歌手のバックバンドに参加。その後、芸名「TO-Y」としてソロデビューを果たし、その才能ゆえに芸能界という大きな欲望の渦に巻き込まれていく。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、1985年という連載開始当時の空気感をそのままパッケージしたかのようなスタイリッシュな作画にある。ファッションやスラングは時代を感じさせるものの、それがかえって独特の味わいとなり、他の作品にはない唯一無二の質感を生み出している。後続の多くのバンド漫画・音楽漫画に影響を与えた伝説的な作品であり、このジャンルのルーツを知りたいという人には欠かせない一冊だ。芸能界という欲望渦巻く世界に身を置きながらも決して自分を曲げない主人公・藤井冬威のクールで反骨精神あふれる生き様は、今読んでも色褪せることなく強い輝きを放っている。バンド漫画好きなら一度は触れておきたい古典的名作である。
8. 覆面系ノイズ(福山リョウコ)
作品情報
- 作者:福山リョウコ
- 出版社:白泉社(花とゆめ)
- 巻数:全18巻・完結(2013年〜2019年連載)
- メディア化:2017年テレビアニメ化
あらすじ
幼少期、初恋の相手との悲しい別れを経験した少女・ニノ(有栖川仁乃)は、「いつか歌声を目印にニノを見つけ出す」という約束を信じて歌い続けてきた。高校で相手と再会を果たしたニノは、バンド「in No hurry to shout」のボーカルに誘われ、本格的に音楽活動を始める。
おすすめポイント
本作の魅力は、何重にも絡み合う「片想い」というテーマを非常に巧みな構成で描き切っている点にある。幼い頃の約束、再会の喜び、そしてすれ違う想いといった要素が複雑に絡み合いながらも、話が破綻することなく丁寧に整理されていく展開には引き込まれずにいられない。全18巻という長い連載を通して張り巡らされた伏線が、最終盤にかけて着実に回収されていく完成度の高さも見事のひと言に尽きる。音楽を軸にしたストーリーでありながら、恋愛描写の緻密さは王道少女漫画としても十分に通用する水準であり、音楽漫画にあまり馴染みのない読者でも安心して楽しむことができる一作だ。
9. ギヴン(キヅナツキ)
作品情報
- 作者:キヅナツキ
- 出版社:新書館(Dear+コミックス)
- 巻数:連載中
- メディア化:テレビアニメ化・劇場アニメ化
あらすじ
ギターケースを居眠り場所にしていた少年・真冬は、持ち主のギタリスト・立夏に誘われ、バンド「given」のボーカルとして加入する。過去に大切な人を失った真冬は、歌うことを通して少しずつ心の傷と向き合い、再生への道を歩み始める。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、爆発するような演奏シーンの熱量と、感情を押し殺した静かな会話劇との対比の見事さにある。言葉少なに交わされるやり取りの端々から登場人物たちの痛みや優しさがにじみ出てくる演出は、他のバンド漫画にはない繊細さを持っている。大切な人を失った真冬が、歌うことを通して少しずつ喪失と向き合い、再生への道を歩んでいくテーマの掘り下げ方も丁寧で、読み進めるほどに心を揺さぶられる。BLというジャンルの枠にとどまらず、音楽漫画としての完成度の高さゆえに幅広い読者から支持されている点も特筆すべきだろう。恋愛と音楽、双方の描写に妥協がない一作としておすすめしたい。
10. カノジョは嘘を愛しすぎてる(青木琴美)
作品情報
- 作者:青木琴美
- 出版社:小学館(Cheese!)
- 巻数:全22巻・完結
- 受賞歴:第59回小学館漫画賞受賞
- メディア化:日韓で実写ドラマ・映画化
あらすじ
バンド「CRUDE PLAY」の元メンバーで、現在は作曲家として活動する秋は、偽名を名乗って女子高生・理子に交際を申し込む。秋の正体を知らないまま彼を好きになっていく理子と、彼女たちのプロデュースを手がけることになる秋の関係が、次第に複雑に絡み合っていく。
おすすめポイント
本作の魅力は、音楽業界の華やかな表舞台とその裏側にある生々しい現実を、どちらも丁寧に描き出す群像劇としての深みにある。嘘から始まった関係がやがて本物の想いへと変わっていく過程には、単なる恋愛モノでは終わらない緊張感が漂う。登場人物たちの過去や思惑が少しずつ明かされていく構成は非常に緻密で、22巻という長い巻数を最後まで飽きさせずに読ませる力を持っている。恋愛漫画として読んでも、音楽業界を描いた作品として読んでも、どちらの視点からアプローチしても満足度が高いのが本作の強みだ。小学館漫画賞受賞、日韓での実写化という実績も、その完成度の高さを裏付けている。
11. バジーノイズ(むつき潤)
作品情報
- 作者:むつき潤
- 出版社:小学館(ビッグコミックス/裏サンデー)
- 巻数:全5巻・完結
- メディア化:2024年実写映画化
あらすじ
神戸のマンションで管理人をしながら、DTM(宅録)で楽曲制作に打ち込む青年・清澄。上階に住む女性・潮との出会いをきっかけに、「音楽を世に届けたい」という想いが芽生え、パソコンの中だけで完結していた音楽が「生のバンド」の世界へと踏み出していく。
おすすめポイント
本作の魅力は、パソコン一台で完結するDTM(宅録)文化と、生身の人間同士がぶつかり合うバンド文化とを丁寧に橋渡ししている、現代ならではの視点の新しさにある。ひとりで音楽と向き合ってきた青年が、誰かと一緒に音を鳴らす喜びに目覚めていく過程は、時代の変化を感じさせながらも普遍的な感動を伴う。神戸の街並みを舞台にした、どこか懐かしいシティポップ的な空気感も本作ならではの魅力のひとつだ。大人になってからでも新しい一歩を踏み出せるのだというメッセージを、丁寧な人間描写を通して静かに伝えてくれる。全5巻というコンパクトな巻数で読みやすいのも嬉しいポイントだ。
12. ロックは淑女の嗜みでして(福田宏)
作品情報
- 作者:福田宏
- 出版社:白泉社(ヤングアニマル)
- 巻数:既刊7巻・連載中
- メディア化:2025年春テレビアニメ化(実在バンドBAND-MAIDがOP楽曲を担当)
あらすじ
厳格な校則を持つお嬢様学校を舞台に、優雅なはずの令嬢たちが、なぜかインストゥルメンタルロックバンドを結成してしまう。周囲を巻き込みながら、上品さと爆音の間を全力で駆け抜ける熱いバンド青春劇が展開する。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、「お上品な令嬢」と「爆音ロック」という一見相容れない要素を掛け合わせた、強烈なギャップから生まれる痛快さにある。厳格な校則の中で優雅に振る舞うはずの令嬢たちが本気でロックに没頭していく姿は、見ているだけで胸がすくような爽快感を与えてくれる。2025年春に放送されたテレビアニメでは、実在の人気ガールズバンドBAND-MAIDがオープニングテーマを手がけたことも大きな話題を呼んだ。既刊7巻とまだ読みやすいボリュームでありながら現在も連載中で勢いは衰えておらず、今このタイミングで読み始めれば、リアルタイムで盛り上がりを追いかけられる楽しさも味わえる一作だ。
13. ふつうの軽音部(クワハリ/出内テツオ)
作品情報
- 原作:クワハリ/作画:出内テツオ
- 出版社:集英社(少年ジャンプ+)
- 巻数:連載中
- 受賞歴:次にくるマンガ大賞2024 Webマンガ部門1位
あらすじ
特別な才能を持たない高校の軽音部員たちが、「音がずれる」「うまく弾けない」といった等身大の壁にぶつかりながら、少しずつ上達していく過程をリアルに描く。派手な才能バトルとは一線を画す、地に足のついた青春群像劇だ。
おすすめポイント
個人的には最近一番推している漫画。
本作の魅力は、「音がずれる」「うまく弾けない」といった、楽器を始めたばかりの人なら誰もが経験するであろう初心者ならではの悩みを、丁寧にすくい上げているリアリティの高さにある。派手な才能や特別な才能に頼らず、地道な努力と失敗を積み重ねながら成長していく等身大の青春描写は、多くの読者の共感を呼んでいる。特別なきっかけがなくても始められる、身近な部活動としてのバンド活動の魅力を再発見させてくれる構成力も見事だ。また、作中に出てくる楽曲は実在する日本のロックバンドがモデルになっているものが多数登場するのも良い。
次にくるマンガ大賞2024のWebマンガ部門で1位を獲得するなど、賞レースでも高い評価を受けており、まさに今読むべき評価急上昇中の連載作品として強くおすすめしたい。
14. THE BAND(ハロルド作石)
作品情報
- 作者:ハロルド作石
- 出版社:講談社(月刊少年マガジン)
- 巻数:既刊5巻・連載中(2025年1月号〜連載中)
- 特徴:『BECK』の完結からおよそ17年を経て発表された、同作者による新たなバンド漫画
あらすじ
舞台は名古屋。小学5年生の時、母親と訪れたライブハウスで音楽に強く衝撃を受けた新木友平(あらきゆうへい)。学校でいじめを受けていた友平は、同じライブに居合わせた転校生・井畑眞太朗(マタロー)と出会い、親友になる。中学生になった友平は、叔父のマコちゃんから三日月形の変わったギター「カワイ・ムーンサルト」を譲り受け、マタローとともに音楽の世界へ一歩を踏み出していく。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、『BECK』でバンド漫画の金字塔を打ち立てたハロルド作石が、完結からおよそ17年の時を経て挑む新たな音楽漫画である点だ。東京中心になりがちなバンド漫画とは一味違い、名古屋という土地を舞台にしたことでローカルな空気感が生まれており、新鮮な読み心地を味わえる。いじめを受けていた友平と転校生マタローという対照的な2人が、音楽を通じて友情を育んでいく王道の青春群像劇には、『BECK』にも通じる作者らしい温かい人間描写が光る。三日月形という個性的なギター「カワイ・ムーンサルト」の存在も、物語に独特のロマンを添えている。まだ既刊5巻と巻数が少なく今から追いかけやすいのも嬉しいポイントで、『BECK』を読んだファンはもちろん、新しくバンド漫画を読み始めたい人にもぜひチェックしてほしい注目の連載中作品だ。
15. 日々ロック(榎屋克優)
作品情報
- 作者:榎屋克優
- 出版社:集英社(週刊少年ジャンプ)
- 巻数:全6巻・完結
- メディア化:実写映画化
あらすじ
学校ではいじめに耐える日々を送る17歳の少年は、ライブハウスのステージに立った瞬間だけ、本当の自分をさらけ出すことができる。きれいごとでは終わらない鬱屈とした感情を抱えながら、魂の叫びを音楽にぶつけていく成長物語。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、きれいごとでは決して終わらせない、生々しく鬱屈とした感情描写にある。学校でいじめに耐える主人公の抱える痛みや怒りは決して美化されず、読んでいて胸が締めつけられるほどの重さを持っている。だからこそ、彼がライブハウスのステージで魂の叫びを解き放つ瞬間の解放感は圧倒的で、圧倒的な熱量で描かれるライブシーンの演出には強い説得力がある。単なる成長物語では終わらない、痛みと表裏一体になった音楽の力を体感できる点が本作ならではの持ち味だ。バンド漫画における「叫び」の説得力にこだわりたいという読者には、特に強くおすすめしたい一作である。
16. ネムルバカ(石黒正数)
作品情報
- 作者:石黒正数
- 出版社:徳間書店(RYU COMICS)
- 巻数:全1巻・完結
- メディア化:2025年実写映画化(久保史緒里・平祐奈主演)
あらすじ
大学卒業を目前に控えたバンドマンの主人公と、その同居人たちの何気ない日常を切り取った作品。派手な事件は起きないが、モラトリアムが終わっていく寂しさと、それでも音楽を続けていく覚悟が、さりげないセリフの端々ににじみ出る。
おすすめポイント
本作の魅力は、決して長くはないページ数の中に、驚くほど深い余韻を凝縮している完成度の高さにある。派手な事件は起こらず、大学卒業を控えたバンドマンとその同居人たちの何気ない日常が淡々と描かれるだけなのに、読み終えた後にじんわりと心に残るものがある。モラトリアムが終わっていく寂しさや、それでも音楽を続けていく覚悟といった繊細な感情が、さりげないセリフ回しの端々からにじみ出てくる筆致は見事のひと言だ。一冊完結という手に取りやすいボリュームだからこそ、時間を置いて何度も読み返したくなる、静かな名作として長く愛される一作である。
17. SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん(町田一八/長田悠幸)
作品情報
- 原作:町田一八/作画:長田悠幸
- 出版社:スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
- 巻数:全16巻・完結
あらすじ
伝説的ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスの霊に取り憑かれてしまった冴えない英語教師。彼はその圧倒的な超絶技巧を借りて、タイムリミット付きで伝説を作り上げていくことになる。「27クラブ」という都市伝説を軸に、ミステリアスな展開が続く。
おすすめポイント
本作最大の魅力は、伝説的ギタリストの霊が冴えない英語教師に取り憑くという、他に類を見ない異色の設定から生まれる意外性に満ちたストーリー展開にある。都市伝説「27クラブ」を軸に据えたミステリアスな展開は先の読めない緊張感を保ち続け、単なる音楽漫画の枠を超えたエンターテインメント性を持っている。全編を通してジミ・ヘンドリックスというアーティストへの深い愛が随所に感じられる構成も本作ならではの見どころで、彼を知らない読者でもその魅力に引き込まれるはずだ。王道のバンド漫画とは一味違う、一風変わった切り口の作品を探している人には、特に強くおすすめしたい一作である。
よくある質問(FAQ)
Q. バンド漫画で一番人気・有名な作品は?
A. 知名度の高さで言えば「BECK」「NANA -ナナ-」「けいおん!」の3作品が特に代表的だ。近年ではアニメが社会現象化した「ぼっち・ざ・ろっく!」の人気も非常に高い。
Q. 短時間で読み切れる完結済みのバンド漫画は?
A. 全1巻で完結している「ソラニン」「ネムルバカ」は、短時間で読み切れる上に読後の余韻が深い作品としておすすめだ。
Q. 今読むべき、連載中で勢いのあるバンド漫画は?
A. 2025年にアニメ化された「ロックは淑女の嗜みでして」、次にくるマンガ大賞を受賞した「ふつうの軽音部」、そして社会現象となった「ぼっち・ざ・ろっく!」の3作品が特に勢いがある。
Q. 恋愛要素の強いバンド漫画は?
A. 「NANA -ナナ-」「覆面系ノイズ」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」「ギヴン」は、音楽と同じくらい恋愛ドラマの比重が大きく、音楽漫画が苦手な人でも恋愛漫画として楽しめる。
まとめ
バンド漫画のおすすめ17作品を、作品情報・あらすじ・おすすめポイントの3つの観点から紹介した。挫折と成長を正面から描く王道もの、部活の日常を愛でるゆるふわ系、恋愛ドラマとしての側面が強い作品、コメディに振り切ったもの、ジャンルの掛け合わせに挑んだ意欲作まで、バンド漫画はテーマも切り口も驚くほど幅広い。
まずは今アニメ化で話題の「ぼっち・ざ・ろっく!」や「ロックは淑女の嗜みでして」から入り、気に入ったら「BECK」や「NANA -ナナ-」といった名作の系譜を遡ってみるという読み方もおすすめだ。バンド漫画は、読み終えたあとに無性に音楽が聴きたくなる——それが最大の魅力である。
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