こんにちは、かいちょーです。
今回はOrville by Gibsonのギターについて話したいと思います。
Orville by Gibson(オービルバイギブソン)とは、Gibsonから正式にライセンス契約をして1988年から1990年代後半まで生産されたギターブランドのことです。
主に日本の寺田楽器とフジゲンで製造されていたそうです。(1988年のブランド開始時から1990年代前半までは寺田楽器のみで製造、フジゲン製は1990年代前半から登場。)
2019年現在ではオービルブランドでは既に生産されておらず、中古市場でたまに見かけるぐらいですね。
ただ、生産が終了している現在でも非常に人気があり、そこそこの価格で中古品が取引されるほどのギターです。
特に1988年から1990年代中盤までに生産されたOrvilleのロゴの下にby Gibsonのロゴがあるものは通称バイギブと呼ばれ、非常に中古市場で人気があります。
Fender USAに対するFender JAPANの関係に似ているかもしれませんね。
Orvilleの楽器としての評価は?
結論から言うと、値段の割によくできたギターというのが私の感想です。
中古の実売価格が5万~10万円の価格帯のギターだと考えればなかなか良いギターだと思います。
機種によってはさらに高額で取引されていますね。
特に当時のOrville by Gibsonの最上位機種のLPS-QMやLPS-FMは幻と言えるレベルのギターで、滅多に市場に出てこないです。
当時の販売価格が20万近く、ラッカー塗装でハードケース付きというまさに本家Gibsonと同等スペックのギターでした。
また、現在販売されているエピフォンなどと比べてヘッドの形状がギブソンと全く同じ形状なのもオービルに惹かれるポイントだと思います。(エピフォンも日本製はギブソンと同じ形状)
私も今までに何本かオービルのギターを所有したことがありますが、とても楽器として良い個体もあれば、微妙な個体もありました。
バイギブだから絶対に良い楽器ということもなく、普通のオービルでも素晴らしいものもありましたよ。
普通のオービルとバイギブの違いは?
普通のオービルはピックアップが国産のOEMで作られたオリジナルピックアップですが、バイギブには本家Gibsonと同じピックアップが載っています。
このGibson製ピックアップ、基本的にはHB-R、HB-Tといういわゆる「基盤ピックアップ」という種類のものが搭載されています。
しかし、ごくわずかですが初期のオービルには「57クラシック」が搭載されている場合もあったみたいです。
その中にもPATのステカーの貼られていない「プレ57クラシック」と呼ばれたりもするピックアップもあったという噂も。
また、諸説あるので後述しますが、バイギブは完全に日本製のギターですが、普通のオービルには時期によって韓国製が混ざっているという噂もあります。
Orville by Gibsonの塗装はポリ?ラッカー?
オービルのギターはごく一部のモデルのみラッカー塗装ですが、基本的に全てポリ塗装です。
この塗装の違いが本家Gibsonとの違いと言ってもよいでしょう。
おそらく本家ギブソンとの差別化とコストダウンのためでしょう。
ただ、ポリ塗装だからダメというわけではなく、ラッカー塗装ほどデリケートではないためガンガン使ってあげられるし、手入れや管理が楽というメリットがありますよね。
Orville by Gibsonのシリアルナンバーについて
オービルのシリアルナンバーについては諸説あります。
まずバイギブのギターには全てアルファベットのGがシリアルナンバーに付いています。
このGがGibsonピックアップ搭載機種を表していたそうです。
次に普通の数字6ケタのスタンプされたシリアルナンバー。
こちらが普通のオービルのシリアルナンバーになります。
よく議論されるのが、オービル末期に登場したアルファベットのKから始まるシリアルナンバーについてです。
こちらはシリアルナンバーがスタンプではなく、シールで貼られています。
もしシリアルナンバーのないオービルがあれば、ほぼ間違いなくシールがはがされた個体だと思います。
そしてこのKシリアルのオービルは日本製ではなく韓国製だという噂があります。
パーツや木工が韓国産で組み込みだけ日本で行っていたなど、KはKORIAの頭文字で完全に韓国で作っていたなど、Kシリアルのレスポールはサミックのレスポールそっくりだとか、諸説あります。
オービルブランドが消滅した今となっては確認のしようがないですが、実際のところはどうだったんでしょうかね。
以前、当時のオービルの販売代理店である山野楽器にメールで問い合わせした人がいて、その人の話が本当であればKシリアルのオービルは日本製という回答をもらったそうです。
ただ、真実はどうであれKシリアルのオービルでも素晴らしい個体はありますし、バイギブのギターでも全然良くない個体もたくさん見てきました。
結局はその個体を自分が気に入るかどうかですね。
Orville by GibsonとEpiphoneの関係
よくオービルと一緒に語られるのがEpiphone(エピフォン)です。
オービルブランドが消滅した後に、その代わりとして生産・販売されたのが日本製のエピフォンです。(日本製エピフォン自体はオービル以前から存在したが、一部の箱物ギターの製造しかしていなかった。)
この頃の日本製エピフォンも素晴らしい出来のギターが多く、オービルと同じく中古市場で人気となっていますね。
日本製エピフォンのレスポールやSGなどのソリッドギターは富士弦工場で、カジノやシェラトンなどの箱物は寺田楽器で製造されていたのではないでしょうか。
現在は日本製のエピフォンはEpiphone ELITEIST(エピフォン エリーティスト)として存続しており、カジノなどの一部の箱物が定期的に限定生産されています。(現在はレスポールやSGなどは作られていません)
Orville特有のトラブル・症状
ポジションマークの剥がれ
オービルのギター、特にレスポールタイプに多いトラブルとして、ポジションマークの剥がれがあります。
このポジションマークの剥がれているオービルのギターをたくさん見てきました。
使われていた接着剤の劣化、もしくはポジションマークの素材のせいだと思いますが、オービル、バイギブ関係なくポジションマークのはがれているオービルが多いこと。
あまりGibsonでは見かけない症状なんですけどねー。
パーツの互換性の問題
オービルは国産のギターなので、パーツを交換する際はミリサイズのパーツを用意してあげる必要があるのですが、なぜか合わないことが多い。
かといってインチサイズのパーツでも合わない(笑)
とくに、レスポールタイプのピックガードが顕著で、Gibson純正のピックガードだろうがオービルには合わないです。
オービルのパーツはもしかして独自規格なのかな?
新しくボディにネジ穴を開ければ装着することができるのですが、無加工で取り付けられるケースはあまりないです。
中古のオービルを購入してピックガードを交換、もしくは装着を考えている人は要注意ですよ。
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機材紹介
ここで私の所有しているオービルのギターを紹介します。
結局私の手元に残っているオービルのギターは、この1988年製のバイギブのレスポールジュニアDCのみです。
他のオービルのギターは全て売却してしまいました。
シリアルナンバーから、このレスポールジュニアは1988年製の個体ということがわかります。
カラーはTVイエローですが、どちらかというとライムドマホガニーに近いです。
このジュニアの特筆すべき点は、とにかく軽いこと。
重量はたったの2.7kgしかありません。
とにかく取り回しがよく、長い間愛用しているギターの1本です。
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改造点としては、ペグをゴトーのマグナムロックに交換。
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ストラップピンをシャーラーのロックピンに交換してから位置をカッタウェイ部分に変更。
いつかブリッジをバダスブリッジに交換したいなーと思いつつもまだノーマルのままです。
木工の造りもよく、フレットの処理も素晴らしい個体。
ピックアップもGibson製のP-90が載っており、太くて歯切れの良い音です。
リードギターでもリズムギターでもこなせ良いピックアップだと思います。
おそらく当時の価格で8万円程度のギターだと思いますが、個人的にはかなりお気に入りのギターです。
以前、ヒスコレのジュニアのDCも所有していましたが、断然こっちのほうが好みでした。
そのため、ヒスコレは売却してしまいましたが、このギターだけはまだ手元に残していますね。
ヘッドに小さくby Gibsonと書かれているロゴもお気に入りのポイントです。
なんかカッコ良くないですか?
Orville by Gibson(オービルバイギブソン)のまとめ
日本版GibsonともいえるOrville by Gibson。
未だに根強いファンがいるのも納得できるギターだと個人的には思います。
もう新品で購入することはできないので、中古で探すしかないですが、オービルのギターが気になっている人は一度購入して弾いてみるといいですよ。
おっ!と思えるような個体がたまに見つかるので面白いです。
オービルのギターもシリアル関係なく年々値上がりしてる気がしますが、Gibsonよりはかなり安く入手できますし、十分にGibson系ギターのサウンドを楽しむことができます。
ただ、中古で購入することになるので、楽器の状態を見極められる人じゃないと選ぶのが大変かもしれません。
そういった意味では初心者にはあまりオススメできないギターかもしれませんね。
いずれにせよ個体差の大きなギターブランドだと思うので、購入の際はよく考えてから購入しましょう。
それではまた。
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